考える生き方 (ダイヤモンド社) finalvent 感想

考える生き方 (ダイヤモンド社) finalvent 感想

2014/12/23 21:30 neputa

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※honto・amazon どちらも電子書籍で読めます。

あらすじ

ブロガーとして知られる著者が半生と人生観を綴る。「からっぽだった」と人生をふり返り、しかし学び考えることで人生を豊かにできる気づきを語る。空しさを希望に変える術を説く一冊。

読書感想

読むキッカケ

成功指南や自己啓発の本は好きでは無くこれまで完全に避けてきたのだが、本作を読んでみようと思った理由は二つある。
  1. 著者が日頃よく読んでいるブログの作者だから。(極東ブログ
  2. 副題「空しさを希望に変えるために」に惹かれたから。
成功指南書の苦手なポイントは、人生の成功を画一化し、これに絞った必勝パターンで読者を納得させようとするところだ。
マイナスの人生を一気に100まで持っていくような内容に読んでいて正直引いてしまう。

しかし、本作から感じたイメージは、マイナスからせめてプラス1ぐらいへの導きのように思え、ずいぶん控えめなところが却って気になった。
(装丁も含め売ろうとする気配も控えめなのは心配だが...)

変わった装丁とその内容は

本作は作りがちょっと変わっていて面白く、読者は表紙から本文を読み始めることとなる。まずは著者の人生観から始まるのだが、この文章から読み進めたい気持ちが一気に高まった。
人生、成功はしないかもしれないけど、考えて生きていけばなんとかなるんじゃないか。
日常において、人生というものは何かと相対的に語られることが多いが、周りの全てが滅び比べる対象が消滅しても存在し続ける。
つまるところ、人生は突き詰めれば自分だけのものだ。
刹那的な「人生の成功や失敗」に左右されるよりも、「人生をより良く継続する方法」を学ぶことができる、そう感じたのだ。

本編からは著者の人生を振り返り、その時々の出来事や心情が綴られている。
学生時代、家族のこと、仕事、恋愛について、病気を患ったことなどを淡々と語る。
「からっぽだった」と人生を振り返った著者だが、劇的では無くとも十分に人生物語として読み入ってしまう内容だ。

しかし何というか、この方は本当に「考える人」だなあと感じる。
追い込まれたり、困ったであろう局面においても、学問的に考え吸収しようとするのだ。
かといって思慮深くて暗いということはなく、どこか楽観的な面があり、どのような違和感も懐深く受け入れてきた印象がある。

本書で知った著者の家族、そして沖縄

淡々と綴られるなか、沖縄で八年暮らしたくだりはページ数も多く、その後の人生に大きく影響を与えたことがうかがえる。
著者の奥様が沖縄出身で出産に合わせて移住することになり、そこから生活の雰囲気がガラリと変わった印象を受ける。

親族達の勧めで行われた披露宴の様子は特に素晴らしかった。
料理はテーブルにあれば食べ始め、ゲストが我こそが主役と歌い踊るという。
いまいち有り難みが謎な昨今の披露宴とは異なり、本当に目出度い、まさに祝宴とも言える文化が続いている事実になんだかとても嬉しくなった。

著者が沖縄に身を置いた八年間の結びで語った内容を引用する。
よく「日本人のDNA」ということをいう人がいるが、実際に遺伝子を構成するDNAを持ち出すなら、むしろ日本人特有のDNAなどなく、日本人は近隣アジアの民族となめらかにつながっていると考えるほうが正確だ。民族の文化という点でも、日本の固有性に焦点を当てるより、近隣アジアの民族がもつ文化との類似点やつながりに目を向けていくほうがよいだろう。そうした点で、沖縄は、日本がアジアや他国につながる一番近いところにある異文化でもある。

学び続けること(MASTERキートンを思い出す)

著者は学び考え続けてきた人なのだとしみじみと伝わってくる
大学院の中退や仕事の変遷に対し、著者自身は中途半端さを感じているようだ。
しかし、目の当たりにする様々に対し、常に好奇心を抱き探求する姿はとても感動する。
触発され学び続けることの大切さについてあれこれ考えているうちに、浦沢直樹さんの「MASTERキートン」という作品を思い出した。

若いころ夢中になって読んだ漫画作品なのだが、そこからエンタテイメント要素を排除すれば、本作と似た読後感になるのでは、とふと思った。
著者の迷いながらも学びそして考え続ける姿が、漫画の主人公と重なったのだと思う。
人生の敗北者であっても、貧しい生活でも、学ぶことで人生は豊かになる。
本書の終盤で著者が語る言葉だ。
至言であり、とても大きな勇気をもらった。

副題の「空しさを希望に変えるために」について考える。
人生が180度変わるような劇的でドラマチックなことではない。
とてもシンプルに、目の前の一つひとつについて考え、そして受け入れていくことで、人生は自然と前に進んで行くんだと教わったように思う。
考えて生きていけばなんとかなるんじゃないか。
本書を通じてこの言葉がじんわりと胸刻まれたように思う。

子育てのこと

それにしても、お子さんが4人もいらしたのは驚いた。
家族全員が健やかあることを祝して全力で拍手を送りたい気持になる。
果たしてこの先自分が子を持つことがあるかわからないが、著者が読んだという育児書を備忘録として記しておく。

著者について

amazonより引用
アルファブロガー(2004年アルファブロガー・アワード)。随筆家。ペンネームの由来は子どもと見ていた仮面ライダーの必殺ワザから。1日1冊のペースで読む読書を30年以上続けている。関心分野は、哲学・思想・文学・歴史など文系領域から生物学・物理学など理系領域まで。1957年生まれ。国際基督教大学卒業。同大学院進学。専攻・言語学。情報技術や最新医療の解説なども得意とする。デジタルコンテンツのための配信プラットフォーム「cakes(ケイクス)」で、文学書などの書評も連載中。

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