『冬山の掟 〈新装版〉』 新田次郎 【読書感想・あらすじ】

2016/01/18

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あらすじ

冬山では午後になって新しい行動を起こすな―山で発熱した者のためにこのルールに背いて、吹雪の中を彷徨う一行と、その身を案じる家族の懊悩を描く表題作の他、「地獄への滑降」「霧迷い」「雪崩」など、遭難を材にとった全十編を収録。峻厳な山を前に表出する人間の本質を鋭く抉り出した迫真の山岳短編集。
――本書より引用

読書感想

冬山にちなんだ短編集。

いついかなる時でも人は些細な事に囚われつまらない判断ミスをする。

家族、男女間、友人同士、つまらないプライドなどにとらわれ冷静さを失い判断が狂う場合などがある。

町に溢れる他愛もないそういったことが、山では死に直結する。

そのことを厳しく示すかのような10編の物語である。

ただ本作は人間の愚かさを語るというよりは、人間はどんな場合においても間違えをおかしてしまうことを深く認識しておくことの重要性を伝えているのだと思う。

そこを外してはどんな危機管理も絵に描いた餅だよと。

昭和53年の作品であるが人間はそう変わっていないということもよく知ることができる作品であった。


著者について

新田次郎(にった・じろう) 明治45(1912)年長野県生れ。本名藤原寛人。無線電信講習所(現在電気通信大学)卒業。昭和31(1956)年「強力伝」にて第34回直木賞受賞。41年永年勤続した気象庁を退職。49年「武田信玄」などの作品により第8回吉川英治文学賞受賞。55年2月没。
――本書より引用

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