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あらすじ

クロアチアからアイスランドまで、東欧を中心に16の国と地域を巡った渾身のルポルタージュ。最後の魔境、旧共産圏の知られざるサッカー世界を体当たり取材。

史上最凶のフーリガンと恐れられるBBBと往く遠征随行記など東欧を中心に10年以上にわたって取材を続けてきたジャーナリストが、旧共産圏に渦巻くサッカーの熱源を体当たり取材と迫真の写真で解き明かす、渾身のルポルタージュ。

戦争、民族問題で分断され、相容れない国家、民族、サポーターはなぜ、病的なまでにサッカーを愛し続けているのか?否、だからこそ彼らはサッカーにすべてを注ぎ続けるのか?

権力闘争に揺れるクロアチア、オシムが涙したボスニアのW杯初出場、“十字軍"ジョージアの躍進、ウクライナ政変直後の緊迫のダービー、キプロスに横たわる分断の影、ギリシャが挑む「債権者ダービー」など、知られざる世界を巡る壮大な見聞録がここに完成。

東欧サッカークロニクル 長束恭行 (カンゼン)


あらすじ

  • 本書より引用
世界最強と謳われるイスラエルの対外情報機関「モサド」。謎に包まれたその実態をスパイ小説の巨匠が明かす。ホロコーストの首謀者アイヒマンの拉致、テロ組織「黒い九月」への報復、シリアと北朝鮮が密かに設置した核施設の破壊、さらにイランの核開発を阻止するための秘密戦争……。命がけのミッションに挑むエージェントたちの姿を通して国家存亡を左右する暗闘の真実を描くベストセラー・ノンフィクション。解説/小谷賢

モサド・ファイル マイケル・バー=ゾウハー&ニシム・ミシャル (ハヤカワ文庫NF)

※honto・Amazon Kindleどちらも電子書籍版あります。

内容

「憲法は私たちが守らなくてはならないものか」「憲法改正手続を定める憲法九六条は改正できるか」「日本の上空を通過する他国を攻撃するミサイルを撃ち落とすことは合憲か」など、24の問いに答えながら、日本国憲法の思想と骨格を平明に解説。社会問題となっている事象と憲法との関係をときほぐす、市民のための憲法入門。

読書感想

読みどころ

  • とっつきにくい「憲法」について身近なできごとに絡めてわかりやすい文章で教えてくれる。
  • 憲法の成り立ちをふり返りなぜ人類は人権や福祉といった思想を持つに至ったかがわかる。
  • ニュースで「憲法改正」の話を耳にするようになった昨今、(私のように)ついていけない人にぴったりの入門良書。

本書を読むキッカケ

普段身近に感じることが少なく知る機会もなかなかない「日本国憲法」。

学生時代にしっかりと教わった記憶もなく、何かの機会にかなり努力をしないと一向にわからないモノとして認識していた。

毎度選挙のたびに関心を高めるため何かしらの政治や法学に関する本をめくるのだが、最近聞かれる「憲法改正」とは何が問題なのかがさっぱりであった。

このたび突如行われることとなった衆議院解散総選挙に乗じて少しでも知ろうとあがいてみようと本書を手に取ってみた。

憲法とは空気のようなものである

日本で暮らすすべての人に影響を及ぼしているのだろう「日本国憲法」なるものだが仕事や研究で日常的にかかわる人を除けばその実感は極めて薄いのではなかろうか。

本書の冒頭でなるほどと理解を促してくれる文章があった。
よく、「憲法とは空気のようなものである」と言われます。空気は、生物が生きていく上で欠くことのできない重要なものですが、空気を吸ったり吐いたりすることが私たちの意識にのぼることはほとんどありません。ところが、空気が汚染されたり、酸素濃度が低下したりすると、たちまちその存在を意識せざるをえなくなる。空気に対する無意識の状態が、私たちと空気との最もよい関係を表しているとも言えるでしょう。

なるほど。

ではニュースなどでその存在が話題にのぼることはつまり、私たちと憲法の「最もよい関係」に何らかの変化が起きていることを意味していることか。
そしてその変化とは何か。

そのためにはまずそもそもを理解する必要があり、本書はその第一歩をやさしく支援してくれる。

身近な例、わかりやすい文章

憲法、法学など政治にかかわることは専門用語や独特な言い回しなどもあり大変とっつきにくい。
本書のよいポイントのひとつは身近なできごとと憲法の関係性を例にあげ、それをわかりやすい文章で解説していることだ。

例として用いられているもの目次からザっと列挙してみる。

  • いじめ
  • 知る権利
  • 女性の再婚
  • 日の丸と君が代
  • 総理大臣の靖国訪問
  • 無修正ポルノ
  • 犯罪者の権利
  • 都市計画による補償
  • 生活保護の支給額

そしてその内容では関連する細かな例がいくつも登場し、その範囲は多岐に渡る。
憲法とはこの国で暮らすわれわれのありとあらゆる部分に影響があるものだと実感させられる。

憲法誕生の歴史的経緯

ふだん空気のような存在でありながらわれわれの生活の隅々にまで関係する憲法とはどのように生まれたのか。

本書では日本の憲法のみならず、そもそも人類が憲法を生み出した経緯を振り返る。

そのことにより、一部のものが国を支配していた時代からやがて市民が力を持つようになり、そして世界中で戦争に明け暮れた人類の経験が、憲法に注ぎ込まれているのだと知ることができる。

世界のすべての国が立憲主義に基づいたものではないが、つまり増えに増えた人間たちがより賢く共存していくために生まれたひとつの知恵が憲法という具合だろうか。

大変有用な憲法の入門書

憲法の話題は中途半端に情報を得ようとすると両極の極論ばかりが目につき一向に理解の助けとはならない。

まずはそもそも憲法とはなにかをつかみ、そして何が起きているのかを理解していくのが良いのではないかと考えている。

日常の暮らしの中でなんとなく理解していることが明文化されており、それらを読むことではっきりと理解につながる本書は良き入門書だった。
※honto・Amazon Kindleどちらも電子書籍版あります。

著者について

渋谷秀樹
1955年兵庫県加古川市生まれ
1984年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程満期退学
2013年博士(法学)(大阪大学論文博士)
現在ー立教大学大学院法務研究科教授
著書ー『憲法訴訟要件論』(信山社出版)
   『日本国憲法の論じ方』
   『憲法』(以上、有斐閣)ほか
共著ー『リーディングズ現代の憲法』(日本評論社)
   『憲法1 人権』『憲法2 統治』(有斐閣)ほか

憲法への招待 新版 渋谷秀樹 (岩波新書) 内容と感想


あらすじ

精神医学を根底から問い直す画期的論考! 人類は狂気とどう向き合ってきたか。自殺の主因を「うつ病」に求めていいのか。健康ブーム、アンチエイジング医学に潜む危険な兆候とは──〈異常〉と〈正常〉の線引きを歴史的に検証し、人間の精神とはなにかを改めて考える。

読書感想

タイトル買いしたこの本

非常に興味深く大変身近だと感じるテーマだ。

誰しも集団や組織において相容れない違和感のようなものを感じることがあると思うのだが、自分も子供時代にこの違和感のようなものを意識するようになってから異常、異端などマイノリティー的なものに対する興味を抱くようになった。

著者は精神科医であり、精神科医としての視点や歴史的観点を交えながら「異常」について論じている。 大まかにかいつまむと、異常とは多数派の中で醸成される異端的なものであり、対象はその時代における価値観によって大きく変化、時には正常から逆転する、流動的なものとしている。

歴史から見る異常

歴史上の例としては魔女狩り、ホロコーストなどを例に引いている。

魔女狩りについては、子を宿すことを神聖と崇めた「女性信仰」の時代に権力を持っていたシャーマンなどが、女性に対し処女性を求めたキリスト教の勢力拡大により魔女として排除されるようになった正常から異常への逆転の例として解説している。

ホロコーストについては、現場で任務についていた人物たちの多くに反ユダヤ思想がなく勤勉で職務に忠実であるメランコリー型の傾向が見られることなどから、正常を極度に推し進めた結果としての異常という例として示している。

正常と異常は両極に存在していると思いがちであるが、ホロコーストの例などから一概にそうではないことがわかる。

医学的に見る異常

著者が本業とするところでもあり、かなり詳細に書かれている。
精神的な異常を「病」と定義することで治験が成立し製薬が可能となる経済的都合など、様々な精神疾患が溢れている現状にいたる流れを丁寧に説明している。
また風邪などの疾患と異なり個別性が濃い精神疾患を大まかに診断、投薬する現代精神医学への警鐘も述べている。

ここの下りは現代における「異常」を理解するための多くのヒントがあるように感じた。

現代における異常と原点回帰

昨今「ダイバーシティ」という言葉が用いられるなど多様性を重んじる傾向は少しずつ広がっているのかもしれない。

そこでふと思ったことがある。もともと生命は過酷な自然環境において多様化することで生存を図ってきたが、人間はその歴史において宗教や経済思想を産み出し、その中で「異常」を見出し同一化を目指す流れを強めてきた。経済合理性から人工的に同一化を図ってきたとも言えよう。

70億までに膨れ上がった人類は、同種を限られた資源で生存させる知恵として現代の資本経済や精神医学が発達してきたように思うのだが、多様化が生命本来の自然行為であるとすればそれらは反自然とも言えるものでそろそろ無理が生じてきたのかもしれない。

「ダイバーシティ」などの流れは「そもそもみんな違ってあたり前」の世界へと向かう原点回帰なのかもしれない。


著者について

  • 本書より引用
小俣和一郎(おまた わいちろう)
一九五〇年、東京都生まれ。一九七五年、岩手医科大学医学部卒業。一九八○年、名古屋市立大学医学部大学院修了。医学博士。一九八一年 ー 八三年、ミュンヘン大学精神科留学。精神科医・精神医学史家。上野メンタル・クリニック院長。著者に『ナチスもう一つの大罪』『近代精神医学の成立』(以上、人文書院)、『精神医学とナチズム』(講談社現代新書)、『ドイツ精神病理学の戦後史』(現代書館)『精神病院の起源』『精神病院の起源・近代篇』(以上、太田出版)、『精神医学の歴史』(第三文明社)など、訳書にセレニー『人間の暗闇』、フォン・ラング『アイヒマン調書』(以上、岩波書店)、共訳書にグリージンガー『精神病の病理と治療』(東京大学出版会)などがある。

「精神医学」に関する読書感想

異常とは何か (講談社現代新書) 小俣和一郎


あらすじ

  • 本書より引用
最強のクライマーとの呼び声も高い山野井泰史。世界的名声を得ながら、ストイックなほど厳しい登山を続けている彼が選んだのは、ヒマラヤの難峰ギャチュンカンだった。だが彼は、妻とともにその美しい氷壁に挑み始めたとき、二人を待ち受ける壮絶な闘いの結末を知るはずもなかった――。 絶望的状況下、究極の選択。鮮やかに浮かび上がる奇跡の登山行と人間の絆、ノンフィクションの極北。

読書感想

近くの山もヒマラヤの8000メートル峰も絶壁の壁も、最低限の装備のみを持って単独で登ってしまうという脅威のクライマー「山野井泰史」を知ったのは『NHKスペシャル 夫婦で挑んだ白夜の大岩壁』というドキュメンタリー番組だった。

山野井泰史と妻・妙子(旧姓ー長尾) 夫妻は共に世界に知られる実力あるクライマーであると紹介されていた。
アイスランドの1000mを越える壁を見て子供のようにはしゃぐ山野井泰史氏。対照的にあまり感情を表に出さず静かに微笑んみたたずむ山野井妙子氏。しかし二人はこれ以前に挑んだヒマラヤのギャチュンカンで手足の指の多くを失い、全盛期のようなクライミングができない身体となっている。ただ映像に映っているのは暗さといったものが一切なく、ただ静かで、力強く岩壁をのぼる一組の人間たちであった。

「彼らをもっと知りたい」という強い気持ちが湧き本書を手に取った。

内容は二人の子供時代やかつての登山キャリア、そしてギャチュンカンでの壮絶な体験とその後の状況を丁寧に描いている。
ギャチュンカンで二人は7000mを越す過酷な状況下で酸素ボンベも持たず悪天候により停滞を余儀なくされ重度な凍傷を負う。吹雪で遭難の恐れがあるため、天候の回復を待って立ったまま眠らなければならない場所で朝を待ち、雪崩に流されながらも生還するのである。

このような内容であっても、読んでいてとても静けさを感じることが不思議であった。ドキュメンタリーで見たお二人の穏やかな語り口や人柄が心に残っているせいか、著者の表現ゆえなのか。

人間は過酷な状況に置かれると、体よりもまず脳というか意思が先にやられてしまうことが多いそうだ。パニックを起こすと脳は大量に酸素を消費する。高所で冷静さを失えば死が大きく近づいてくるのだろう。

では激しい山行を経験してきたこの二人はなぜ生き残ることが出来たのか、この不思議に対する理由が以下の話からなんとなくわかったような気がする。
疲れきった二人はぐっすりと眠った。夜が明けても眠りつづけた。平らであり、落ちる心配がないということがどれほどありがたかったことか。
翌朝はよく晴れ、陽が上がるとポールにフライシートをかけただけにもかかわらず、中はポカポカとした暖かさに満たされた。
その暖かさの中で眠りながら妙子はこんなふうに感じていた。
――これまでの人生で一番幸せかもしれない……。
ギャチュンカンの高所で吹雪をやりすごし、雪崩で滑落し、ようやく横になれる場所まで降りてこれたあとのビバークにおける描写だ。ベースキャンプまでまだ氷河をあるかなければならない。しかも妙子氏は高度順化がうまくいかず、7日間のあいだほとんど食事ができていないなかでのことだ。

そして泰史氏。
いつもは時間の取られる出国手続きも、ほとんどフリーパスのようにして通過することができた。それは日本大使館から来た館員が付き添ってくれたからだった。山野井はこうした状態を笑い飛ばすようなつもりでこう思った。
――凍傷も悪く無い。
このとき、ギャチュンカンから生還したものの泰史氏の指はほとんどを失うことが確定していた。かつてのように登れなくなることもわかっていた。しかし彼は「悪くない」と笑い飛ばすのである。

ギャチュンカンで二人に死の可能性はあった。しかし生きる可能性もあるわけで、それが1%でもあることがわかっている限りにおいて、この二人は迷うことが一切無い。そして、とても控えめではあるが生きることに対しての力強い明るさがある。

冒頭で書いたドキュメンタリーで、確かに二人の登るスピードはかつて程ではないのかもしれない。指を失ったこともあり道具の扱いがもたつく場面などもある。
しかし本書を読み終え、以前もあとも、この二人の芯にある部分というのは変わることがないのだと、そのクライミングから感じさせられる。

偉大なクライマーを知り調べてみると亡くなっていることが多いなか、山野井夫妻は今も奥多摩でつつましく暮らし次にどこを登ろうかと思いながら暮らしているのかと想像できることがたまらなく嬉しい。

ご本人の著書もあるようなので是非読んでみようと思う。


著者について

  • 本書より引用
1947(昭和22)年、東京生れ。横浜国大卒業。ほどなくルポライターとして出発し、鮮烈な感性と斬新な文体で注目を集める。『若き実力者たち』『敗れざる者たち』等を発表した後、'79年、『テロルの決算』で大宅壮一ノンフィクション賞、'82年に『一瞬の夏』で新田次郎文学賞、'85年に『バーボン・ストリート』で講談社エッセイ賞を受賞。'86年から刊行が始まった『深夜特急』三部作では、'93(平成5)年、JTB紀行文学賞を受賞した。ノンフィクションの新たな可能性を追求し続け、'95年、檀一雄未亡人の一人称話法に徹した『壇』を発表、2000年には初の書き下ろし長編小説『血の味』を刊行している。'06年に『凍』で講談社ノンフィクション賞を、'14年に『キャバの十字架』で司馬遼太郎賞を受賞。ノンフィクションの分野の仕事の集大成として「沢木耕太郎ノンフィクション」が刊行されている。

「山」に関連するエントリ

凍 (新潮文庫) 沢木耕太郎